
院長:下園お気軽にご相談ください!

院長:下園お気軽にご相談ください!
毎日顎の痛みに悩まされている方から「この痛みが子どもにも遺伝してしまうのでしょうか」というご相談をいただくことがあります。自分自身が辛い思いをしているからこそ、お子さんに同じ苦しみを味わってほしくないというお気持ち、よく分かります。


顎関節症の痛みや開口障害で日常生活に支障をきたしている方にとって、遺伝の可能性は非常に気になるところですよね。今回は顎の痛みで悩む親御さんの不安を少しでも和らげられるよう、顎関節症と遺伝の関係について詳しくお伝えしていきます。


自分が苦しんでいるからこそ、子どもには同じ思いをさせたくないという親心、本当によく分かります
結論から申し上げますと、顎関節症という病気そのものが直接遺伝することはありません。
これは多くの歯科医師や研究者が一致して認めている見解です。つまり、あなたが顎関節症で苦しんでいても、その症状がそのままお子さんに受け継がれるわけではないということです。
ただし、ここで安心するのは少し早いかもしれません。なぜなら顎関節症を引き起こしやすい体質や骨格の特徴については、遺伝する可能性があるからです。これは顎関節症そのものが遺伝するのではなく、「なりやすい条件」が受け継がれるという意味になります。
顎関節症の直接的な遺伝はなくても、間接的に関係する要素には遺伝的な要因が含まれています。ここでは遺伝する可能性のある要素について詳しく見ていきましょう。
親から子へと受け継がれやすいのが、顎の大きさや形といった骨格の特徴です。例えば顎が小さい、下顎が前に出ている(受け口)、上顎が前に出ている(出っ歯)といった骨格的な特徴は遺伝しやすいと言われています。これらの骨格構造は顎関節への負担を大きくする要因となり、結果として顎関節症を発症しやすくなる可能性があります。
歯並びの悪さや不正咬合も遺伝的要素が関与しています。両親のどちらかが歯並びに問題を抱えている場合、お子さんも同様の問題を持つ可能性が高くなります。噛み合わせのズレは顎の筋肉に余計な緊張を生み、長期間にわたって顎関節に負担をかけ続けることになります。
関節が柔らかすぎる、あるいは硬すぎるといった体質も遺伝します。顎関節の可動範囲が広すぎると関節円板がずれやすくなり、カクカクという音や痛みの原因となることがあります。こうした関節の特性は家族内で共通して見られることが少なくありません。
ここまで遺伝的要素について説明してきましたが、実は顎関節症の発症には生活習慣や環境要因の方がはるかに大きな影響を与えているのです。当院に来院される顎関節症の患者さんを診ていると、遺伝的要素よりも日常生活の中での癖や習慣が症状を引き起こしている例が圧倒的に多いと感じています。
親子で顎関節症になるケースでは、遺伝よりも生活習慣が共通していることが原因であることが多いです。例えば片側だけで噛む癖、頬杖をつく習慣、うつぶせで本を読む姿勢、こうした何気ない日常の動作が家庭内で自然と受け継がれていきます。お子さんは親の行動をよく見ていますから、無意識のうちに同じような癖を身につけてしまうのです。
家族で同じ食事をすることで、食べ物の硬さや噛む回数といった食習慣も共有されます。柔らかいものばかり食べていると顎の筋肉が十分に発達せず、顎関節に負担がかかりやすくなります。また早食いの習慣や、よく噛まずに飲み込む癖なども家族内で似通ってくることがあります。
ストレスを感じたときの反応も家庭環境の中で形成されていきます。緊張すると歯を食いしばる、イライラすると無意識に顎に力が入るといった反応パターンは、親から子へと伝わりやすいものです。特に現代社会ではストレスが多く、知らず知らずのうちに顎に負担をかけている方が非常に多いです。


遺伝的要素があったとしても、適切な対策を取ることで顎関節症の発症リスクを大きく下げることができます。ここでは今日から始められる予防法をご紹介します。
スマートフォンやタブレットを長時間使用する際の前かがみの姿勢は、首や肩の筋肉を緊張させ、それが顎の筋肉にまで影響を及ぼします。お子さんがゲームや動画を見るときの姿勢をチェックし、背筋を伸ばして画面を目の高さに保つよう声をかけてあげてください。親御さん自身も正しい姿勢を心がけることで、お子さんの良いお手本になります。
食事の際は左右均等に噛むことを意識させましょう。片側ばかりで噛んでいると顎の筋肉のバランスが崩れ、顎関節への負担が偏ってしまいます。食卓での会話の中で「反対側でも噛んでみようね」と優しく声をかけるだけで、お子さんの意識が変わっていきます。
顎の発育には適度な硬さの食べ物が必要です。しかし硬すぎるものは顎関節に過度な負担をかけます。野菜や果物、お肉など、自然な硬さの食材をバランスよく取り入れ、よく噛んで食べる習慣をつけることが大切です。
お子さんの歯並びに気になる点があれば、早めに歯科医師に相談することをおすすめします。成長期に適切な矯正治療を行うことで、将来的な顎関節症のリスクを減らすことができます。定期的な歯科検診を習慣づけることも重要です。
学校生活や習い事で子どももストレスを感じています。就寝前のリラックスタイムを設けたり、親子で話す時間を作ったりすることで、心の緊張をほぐしてあげましょう。顎の食いしばりはストレスと深く関係しているため、心のケアも顎関節症予防につながります。
お子さんの心配をされる前に、まずはあなた自身の顎関節症をしっかり改善することが何より大切です。親が痛みを我慢している姿を見て育つと、お子さんも「痛みは我慢するもの」という認識を持ってしまう可能性があります。
当院では顎関節症でお悩みの方に対して、丁寧なカウンセリングと4種類の検査で根本原因を特定し、全身のバランスを整える施術を行っています。顎だけでなく首や肩、骨格全体のゆがみを整えることで、多くの方が症状の改善を実感されています。
仮に骨格や歯並びに遺伝的要素があったとしても、それが必ずしも顎関節症の発症につながるわけではありません。大切なのは早めに適切なケアを始めることです。生活習慣を見直し、正しい姿勢や噛み方を意識するだけでも、大きな予防効果が期待できます。
もしあなた自身が顎の痛みや違和感で悩んでいるなら、それは体からのサインです。放置すれば症状は悪化し、お子さんの前で我慢し続ける日々が続いてしまいます。親が元気で笑顔でいることが、子どもにとって何よりの安心材料になるのではないでしょうか。
顎関節症は適切な施術と生活習慣の改善で十分に改善可能な症状です。当院には顎の痛みから解放され、食事や会話を楽しめるようになった方がたくさんいらっしゃいます。一人で不安を抱え込まず、どうぞお気軽にご相談ください。お子さんのためにも、まずはあなた自身が健康な体を取り戻しましょう。


遠方にお住まいの方に向けた案内のぺーじを作りました。当院まで来られない場合はこちらをご覧ください。少しでもあなたのお役に立てれば幸いです。

